スーパーマーケッ子のヴェルサス日誌

ゲーム・お菓子・ときどき仕事

ばあちゃんに会いに行く の巻

ばあちゃんが認知症になって施設に入ったのは

もう4年か5年前になるんだったかな。

 

最初のころは物忘れの延長線上といった感じだったかと思うけど

コロナ禍となって、会う頻度が減り、

最後に会ったのはたぶん1年前くらい。

その時は、それでも私や母のことはわかっていたし

ゆっくりであれば自分の足で歩くこともできたので

施設の方に半日外出の許可をいただいて

一緒にご飯を食べに出かけた。

 

コロナが収束したり再度蔓延したりを繰り返してるもんだから

なかなかばあちゃんに会いに行くこともできずにいた。

 

で、先週の出来事。

介護レベルが上がるという連絡が叔父さんから母あてに来たようだ。

どうやら、この1年の間に認知症の症状も進行し

いよいよ叔父さんの顔もわからなくなったみたい。

自分で歩くこともできなくなったようだし

体調も芳しくないとのこと。

 

ばあちゃん、歳も歳だし、会っておこうということになった。

 

叔父さんと母の電話でのやりとりを聞いた。

「あまり、ショックを受けないようにね」とのことだった。

その言葉が、ズンとくる。

見えていない分、不安になる。

ばあちゃん。どんな風なんだろう。

会いに行きたかったけど、

会いに行く日が近づいてくると、

会いに行く時間が迫ってくるほど

いやなドキドキがあった。

 

面倒を見ていた叔父さんが分からないのならば

私や母のことなど、もう分かるわけはない。

それでも1年前に会った時のように

ピンと来てないような顔でいいから

「マケ子かね?」としゃべりかけてほしい。

そう願った。

 

施設の待合室に少しの間待たされた。

多分5分くらいだったんだと思う。

 

でも、すごく長く感じた。

何かに緊張しているときのように

口の中が乾燥してどきどきとしていた。

 

そして車いすに乗せられたばあちゃん。

ばあちゃんは見た目は1年前とそんなに変わっていなかった。

「思ったより元気そうでよかったよね」と母と話した。

でも、やはり私たちのことはわからないようだった。

介護士の方に「娘さんとお孫さんですよ」と言ってもらっても

うつむいて首をかしげていた。

具合が悪そうだった。

心臓が悪いんだって言っていた。

耳もだいぶ遠くなってしまったらしく

声も届いているかもよくわからない。

 

苦しそうなばあちゃんをここに長居させるのは

かわいそうだし、顔を見れたことで満足した。

 

多分10分くらいだった。

でも、充分だった。

つらい思いはしないでほしいと思った。

「ばあちゃん、また来るからね。」と言った。

 

今までは「たぁのしみだ」って言ってくれたけど

もう声が届いていなかった。

でも、いいのだ。

ばあちゃんが、生きてくれているなら。

 

それでも、帰りの車の中で私は泣いてしまった。

悲しいとかじゃないけど

自分でもなんで泣いたのかよくわからなかった。

 

ちっちゃい頃のこととか、思い出したからかもしれない。

私はばあちゃんちで暮らしていたこともあるから

ばあちゃんに保育園のお迎えしてもらっていたし

夏休みはばあちゃんちに必ず泊まりに行った。

前の仕事をやめたときも、家にいるのが嫌で

ばあちゃんちに逃げ込んだ時もあった。

 

いーっぱいある思い出のことを考えて泣いたのかもしれない。

 

悲観的に書き綴ったが、

ばあちゃんの人生はまだまだ続いている。

 

私たちの記憶がないとしても

漠然とでもいいから幸せを感じて過ごしてくれればいい。